『アフリカを見る アフリカから見る』感想

 

アフリカを見る アフリカから見る (ちくま新書)

アフリカを見る アフリカから見る (ちくま新書)

 

要約 

 アフリカは経済的に遅れている・発展しないという認識は時代遅れのアフリカ観であり、大企業の経営層・年配のビジネスマンがアフリカとビジネスをしたがらない傾向にある間に、先進的な携帯電話事業や電子決済インフラなどが普及している。支援ではなく投資をしてほしい、とアフリカのエリート層は言う段階にある。エチオピアは2017年までの20年でGDPがおよそ10倍になり、対中国債務が過剰である、政情不安があるなど問題も抱えるが今や高層ビルの立ち並び、モノレールの走るなど発展している国である。

 中国がジブチに軍事拠点を構築しつつあるのは、シルクロードの経済圏を構成したい目論見がある。中国資本がアフリカ各国に入っているが、労働・資源・土地を奪うという印象はあまりなく、資本投入があること自体は肯定的で、したたかである。アフリカの政治的パワーは大国に比べ小さいが、過去に日本の常任理事国入りにアフリカ連合が待ったをかけたことがあるなど、日本の国益にも影響のある相手である。NGOPKOは規模では中国にかなわないが、現在の比較優位や差別化を図って支援の中で存在感を発揮し続ける工夫が必要である。

 コートジボワールの90年代ナショナリズム・排外主義(元から在住する「イボワリアン」優位に見る観念)が国を二分する内戦を起こした例や、ケニアのナイロビで一般市民が起こした集団暴力に見る集団極性化の例は同時代に起きた事態として深刻で、先進国でそこまで再現されることがなくとも、紙一重であり、示唆する所がある。

感想

 対アフリカの政治やビジネスが語られる前提となるべき情勢を知る手段が、日本語では難しいことが述べられていて、書籍『ファクトフルネス』では国連専門家も20年前の認識で止まっている例示があったように、バイアスは日本ばかりではなかろうが、自分の生活の中でのアフリカのイメージを思い返すに、確かに子どもの支援NPOなどのイメージが強い。日本人からは経済・政治情勢を追い続けるのが難しいのが、アフリカに投資する企業にはビジネスを拡大するチャンスがあり、そうした企業への投資や支援にも価値が見いだせてもリスクを追えないハードルであろうと思える。ハードルを越えられないのは、HowとWhoのいずれの問題でもありそう。一般的な日本人に一番身近なのを考えると、投資信託などでアフリカ企業への投資パッケージだろうか。ほかに一般的な日本人が対アフリカで関係を深める手段としては、低いハードルとして思いつく中では、クラウドファンディングの枠組みなどがあろうと考えた。