『ブレードランナー証言録』感想

 

 映画『ブレードランナー』を見たことがある。暗い画面、刑事ものの雰囲気、カオティックな街並み、追い追われるスリラー、主人公デッカードを追い詰めたロイ・バティが突如詩的な遺言を残すシーン、これらがすべてフィクションの世界観に奥行きを持たせていて没入感の高い作品だった。白い鳩が飛んだりドローンみたいな車が飛んでいたり、高層ビル群の路地裏でチェイスしたり、発表年が後に当たる作品で見た演出も(自分にとっては)発見だった。

 自分はSFや映像・コミックの歴史を全然知らないので、1章の冒頭で「フィルム・ノワール('40~'50年代のアメリカ犯罪・ハードボイルド映画のことを称する)」の要素について質問が投げかけられて、いきなり脚注を読むことになった。フィリップ・K・ディックの原作とは一部の重要な要素を除いて全然違う作品だというのも知らなかった。そもそもこの映画が複数人体制で脚本を彫琢して作り上げたとか、デザイン面でメビウスバンドデシネの影響を受けているだとか、映画好きが本質的に重視するだろうポイントが、インタビューの中で紹介されており、ディープな世界の一端を垣間見ることができた。

 続編映画『ブレードランナー 2049』について、綱渡り的に成功した作品だが原作の猥雑さが失われている、といったポール・M・サモンのインタビューが、なるほど続き物の映像作品にはそういう楽しみ方があるのか、と感心した。「いろいろなバージョンがあるがファイナルカットがいい」というのも、同じ映画で違うカットの版を意識して見る習慣がなかったので、それも今後観る前にチェックしてみたい。

 

 アニメーション続編『ブレードランナー ブラックロータス』を手掛ける渡辺監督のインタビューでは、『ブレードランナー ブラックアウト 2022』や『アニマトリックス』で「金は出すが口も出す」ハリウッドとの仕事の苦労が語られている。インタビュー後の追記で『ブラックロータス』が2019年秋公開を目指し製作開始したとあるが、検索するとCGの職種募集が2019年の4, 5月に行われていた以上の情報が表に出ていないあたり、今回もきっと脚本の折衝、厳格な秘密保持があろうことを思った。いつかはわからないが楽しみにしたい。ネット配信が予定されているが、日本での展開予定は未定らしく、Netflixで出るなら今度こそ登録しようか悩ましい。いや、特定の作品を観たいだけの人にとっては、割高・ディレイがあってもAmazonレンタルで十分か? Netflixについては以下の記事を見ると、Netflixもハリウッドのように口も出すようになり、Netflix発の大規模な作品が散見されて、それらの制作により人材の育成の基盤が見込まれるところまでは、既定路線なのかなと思われた。ネット配信の利用規模が拡大傾向にあるのに対して、併存する映画・テレビが縮小傾向にあるのは事実であるようだが、どこで止まるのかを判断する材料はなさそうだ。

 

Netflixやテレビなど、直近で見かけた記事)

Netflix版“攻殻機動隊”の可能性から「アニメ製作委員会問題」まで:プロダクション ・アイジー石川社長インタビュー | BUSINESS INSIDER JAPAN

「あの事件でスピルバーグは過去の遺物になった」押井守監督が感じた“ハリウッドの破壊者”の限界 | 文春オンライン

「日本人とテレビ 2015」調査 結果の概要:https://www.nhk.or.jp/bunken/research/yoron/pdf/20150707_1.pdf

現在のインターネット動画の利用実態を探る|NHK放送文化研究所